犬の春ケア|抜け毛シーズンに気をつけたい皮膚トラブルと対策

「最近、うちの子がやけに体を掻いている気がする……」
「床が真っ白になるほど毛が抜けるけれど、これって病気かしら?」

春が訪れ暖かくなってくると、動物病院にはこのような相談を寄せる飼い主様が急増します。特に、久しぶりにワンちゃんとの生活を再開された60代のご夫婦にとって、近年の「換毛期」の変化や、それに伴う「かゆみ」の正体は、昔の常識とは少し違っているかもしれません。

実は、春の抜け毛と同時に起こる「かゆみ」は、単なる生え変わりによるムズムズ感だけではない可能性があります。放置すると皮膚炎が悪化し、ワンちゃんにとっても大きなストレスになりかねません。

本記事では、獣医師の立場から、春の換毛期の仕組みと、注意すべき皮膚トラブルの見分け方、そしてご自宅でできる最新のスキンケアについて詳しく解説します。

犬の「換毛期」の基本:春に毛が抜けるのはなぜ?

換毛期の様子

犬の毛がごっそりと抜ける「換毛期」は、いわば季節に合わせた「天然の衣替え」です。

春の抜け毛は「夏支度」

犬の毛には、太くてしっかりした「オーバーコート(上毛)」と、密度が高くふわふわした「アンダーコート(下毛)」の2種類があります。春の換毛期に抜けるのは、主に冬の寒さから身を守ってきたアンダーコート。これが抜け落ちることで通気性を確保し、暑い夏を乗り切る準備を整えます。

ダブルコートの犬種は特に注意

すべての犬種が同じように抜けるわけではありません。「ダブルコート」と呼ばれる二層構造の毛を持つ犬種は、驚くほど大量の毛が抜けます。柴犬、コーギー、レトリーバーなどを飼われている場合、「毎日掃除機をかけても追いつかない」のが正常な反応ですので、安心してくださいね。

現代の室内犬に起きている変化

昔のように外で番犬として飼っていた頃と違い、現代の犬はエアコンの効いた快適な室内で過ごしています。そのため、「換毛期の時期がずれる」「ダラダラと一年中抜け続ける」といったケースが増えています。

ただの抜け毛じゃない?「かゆみ」を伴う5つの原因

かゆがる犬

抜け毛の時期に愛犬が体を掻いていると、「毛が抜けて痒いのかな?」と思いがちですが、実はその裏には別の原因が隠れていることが多いのです。

① 抜け毛の放置による「蒸れ」と細菌繁殖

抜けた毛が体に留まると湿気がこもり、「蒸れ」が生じます。これが原因で、細菌が増殖する「膿皮症」や、カビの仲間が増える「マラセチア皮膚炎」を引き起こします。

② 花粉やハウスダストによるアレルギー

意外に知られていないのが、犬の「花粉症」です。散歩の後に顔周りや足を執拗に掻く場合は、花粉が刺激になっている可能性があります。

③ ノミ・ダニの活性化

気温が上がるとノミやダニも活動が活発になります。刺されると激しいかゆみを伴い、アレルギー反応を起こすと皮膚が真っ赤に腫れ上がることもあります。

④ 季節の変わり目によるバリア機能の低下

春は寒暖差が激しく、犬の自律神経も乱れがちです。これにより皮膚のバリア機能が一時的に低下し、普段は何ともない刺激にも過敏に反応してしまいます。

⑤ 老齢化による代謝の低下

シニア期に入ると代謝が落ち、換毛がスムーズに進まなくなります。古い毛が残ることで皮膚が不衛生になりやすく、皮膚トラブルのリスクが高まります。

病院に連れて行くべき「危険なサイン」

以下のチェックリストに一つでも当てはまる場合は、単なる換毛期ではなく治療が必要なサインです。

チェック項目 状態の目安
皮膚の赤み・湿疹 お腹や股の内側が赤い、ポツポツがある
部分的な脱毛 円形に抜けている、地肌が見えている
ニオイ・ベタつき 脂っこいような、いつもと違う強いニオイ
執拗な動作 散歩中も止まって掻く、足先をずっと舐める
フケやかさぶた 大量のフケがある、黒いかさぶたがある

自宅でできる「春のスキンケア」

正しいブラッシングの徹底

力を入れすぎず、優しくなでるように。皮膚の血行を良くし、新しい毛の成長を促す効果もあります。

散歩後の「花粉落とし」

濡れたタオルで全身を軽く拭いてあげましょう。これだけで、付着したアレルゲンを大幅に減らすことができます。

適切なシャンプーの活用

抜け毛を洗い流すのは有効ですが、洗いすぎは禁物です。皮膚に問題がなければ月に1〜2回程度が目安ですが、すでに皮膚にトラブルがある場合は、その子に合った適切なシャンプー剤を選び、適切な頻度で洗ってあげる必要があります。自己判断せず、ぜひ一度ご相談ください。

皮膚を育てる食事と栄養

良質なタンパク質や「オメガ3脂肪酸」の摂取が効果的です。最近では皮膚ケアに特化したフードもあります。

まずは当院へご相談ください

「これくらいで……」と思わず、大切なご家族のために皮膚の状態を見せにいらしてください。久しぶりのワンちゃんとの暮らしを、全力でサポートいたします。

ブリス寒川動物病院

📞 電話:0467-38-7125 📱 ネット予約(24時間受付) 執筆:獣医師 森山

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