猫がおしっこをしていない?命を救うための「頻尿」と「尿閉」の違い
「昨日から猫がおしっこをしていない」という訴えは、獣医療の現場で最も緊張が走る瞬間の一つです。
本当に「一滴も出ていない(尿閉)」のか、それとも「頻尿」なのか。
この判断が、愛猫の命を左右します。
1. トイレでの「動き」でわかる緊急性の違い
猫がトイレを気にしているとき、その「滞在時間」や「場所の移動」をよく観察してください。ここには病態を見分ける重要なヒントが隠されています。
⚠️ トイレに長時間(数分〜)こもっている場合
これは物理的に「つまっている(尿道閉塞)」サインである可能性が高いです。必死に出そうとしているのに出ないため、長い時間トイレの体勢で固まっています。一刻を争います。
⚠️ トイレとそれ以外の場所を行き来している場合
これは「膀胱炎」特有の動きです。強い残尿感から、トイレに行ってもすぐに出て、またすぐにトイレに戻る、あるいはトイレ以外の場所でおしっこのポーズをとる行動が見られます。この場合、1回あたりの滞在時間は短いのが特徴です。
💡 獣医師からのアドバイス:
「出ていない」と思って来院されても、実際には砂に数滴ずつ跡がある(頻尿)ケースが多々あります。砂の小さな固まりも見逃さないようにしてください。ただし、メスであっても激しい炎症は苦痛を伴いますので、放置は禁物です。
2. なぜ「男の子」ばかりが狙われるのか?
構造上、オス猫の尿道は細く、長く、先端でカーブしています。そのため、結晶や「栓(カス)」が物理的に詰まりやすいのです。これを「尿道閉塞」と呼びます。
一方でメス猫は尿道が太く短いため、石ができても排出されやすく、完全に詰まる症例は非常に稀です。メスの排尿トラブルの多くは、激しい炎症による頻尿(ちょこちょこ出し)です。オスほどの「即時的な生命の危機」に至る確率は低いと言えますが、早期治療が必要なことに変わりはありません。
尿道を塞ぐ「栓」の正体
3. 命のタイムリミットは「48時間」
もし、オス猫等で物理的に尿道が塞がってしまった場合、体内に毒素が溜まる「尿毒症」が急速に進行します。
- 24時間: 嘔吐や食欲不振など、毒素の影響が出始めます。
- 48時間: 腎不全、さらにはカリウム値上昇による心停止のリスクが極めて高くなります。
4. 飼い主様に絶対守っていただきたいこと
× お腹(膀胱)を無理に押さない
パンパンに膨らんだ膀胱は、風船のように脆くなっています。素人が圧迫排尿を試みると、膀胱破裂を引き起こし、致命的な腹膜炎を招く恐れがあります。絶対に触らず、すぐに受診してください。
一刻を争う事態かもしれません。迷わずお電話ください。
ブリス寒川動物病院 タップして電話をかける 📞 0467-38-7125 ネット予約はこちら
執筆:獣医師 森山
