「毎日ごはんもしっかり食べて元気そうだけど、本当に健康診断って必要なのかな?」「検査費用はいくらかかるんだろう…」「うちの子は病院が大の苦手だから、かえってストレスにならないか心配」
そんな風に迷われている飼い主様は、実はとても多くいらっしゃいます。しかし、日々の診察をしていると「もっと早く見つけてあげられていれば…」と悔しい思いをすることは少なくありません。
この記事では、日々多くの動物たちを診察している獣医師の視点から、犬猫の健康診断の本当の必要性、年齢に応じた受診ペース、気になる費用相場や検査項目、そして病院嫌いな子への対策までを分かりやすく徹底解説します。
疑問や不安が解消され、愛犬・愛猫の年齢や性格にぴったりの健診プランを選んでいただけるようになります。大切な家族と1日でも長く健やかな時間を過ごすために、ぜひ参考にしてください。
愛犬・愛猫の健康診断はなぜ必要?迷う飼い主様が知っておくべき3つの理由
動物病院での健康診断。近年は予防医療への意識が高まっていますが、それでも「元気な時に行くのはハードルが高い」と感じる方もいるでしょう。ここでは、なぜ獣医師が健康診断を強くおすすめするのか、3つの重要な理由をお伝えします。

①言葉で不調を伝えられない&病気を隠す習性がある
犬や猫は、私たち人間のように「最近ちょっとお腹が痛い」「体がだるい」と自分の口で伝えることができません。さらに動物には、本能的に「自分の弱み(病気や痛み)を隠す」という習性があります。特に猫はその傾向が強く、飼い主様が「何かおかしい」と気づいた時には、すでに病気がかなり進行しているケースが多々あります。
だからこそ、元気に見えるうちから検査を受け「その子にとっての正常な数値(ベースライン)」を知っておくことが非常に重要です。個体によって正常値にはわずかな違いがあるため、ベースラインを把握していれば、小さな異変にもいち早く気づくことができます。
②歳のとり方が人間の約4倍早い
愛犬や愛猫は、人間よりもはるかに速いスピードで歳をとります。種類やサイズによって多少異なりますが、動物の1年は人間の「約4年」に相当すると言われています。
私たちが「1年に1回」健康診断を受けるのと同じ感覚でペットを病院に連れて行くと、犬猫にとっては「4年に1回」しか健診を受けていない計算になります。4年もあれば、体の中でさまざまな変化が起こるのは容易に想像できるはずです。人生の進むスピードが速いからこそ、定期的なチェックが欠かせません。
③早期発見で選択肢が増え、体の負担や費用を抑えられる
定期健診によって重大な病気の早期発見率が2倍以上高まることも分かっています。病気を早期に発見できれば、食事の変更や軽いお薬だけでコントロールできる可能性が高まり、結果として大きな手術や長期の入院を避けることができます。
これはペットの体への負担を大きく減らすだけでなく、最終的な治療費用の抑制にもつながります。

健康診断はいつから?年齢・ライフステージ別の推奨頻度
「何歳から受ければいいの?」というご質問もよくいただきます。年齢やライフステージによって、推奨される頻度や内容は変わってきます。
0歳〜1歳(子犬・子猫期)
お家に迎えてから1歳になるまでの間に、最初の健康診断を受けることを推奨しています。この時期は先天的な異常(生まれつきの病気)がないかを確認する大切なタイミングです。
生後半年頃に行うことが多い「不妊・去勢手術の術前検査」を、初めての健康診断として活用するのもスムーズでおすすめです。
1歳〜6歳(成犬・成猫期):年1回
体が十分に成長し、最も元気で活動的な時期です。この期間は、最低でも「年に1回」の健康診断をおすすめします。この時期に血液検査を行ってデータを蓄積しておきましょう。
7歳以上(シニア期):半年に1回(年2回)
犬も猫も、7歳を過ぎると徐々に「シニア期」に突入します。見た目は若々しくても内臓の機能は少しずつ衰え始め、犬では心臓病や腫瘍、猫では3頭に1頭がなるとも言われる慢性腎臓病などの発症率がグッと上がります。
この時期からは、人間の2年に1回に相当する「半年に1回(年2回)」のペースで、より手厚くチェックするのが理想的です。
ブリス寒川動物病院の健康診断プランと料金(特別価格)
当院では、大切なご家族の健康を守るため、通常より大幅に受診しやすい特別価格の健康診断プランをご用意しております。年齢や目的に合わせてお選びください。

健康診断コースと検査内容
| コース名 | 特別価格(通常価格) | 主な検査内容・特徴 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 8,000円 (通常22,000円) | 【基本の血液検査】 血液一般、腎臓 |
| レギュラー総合検診 | 18,000円 (通常39,000円) | 【画像検査込みの総合検診】 血液一般、腎臓、レントゲン、腹部エコー |
| プラチナ総合検診 | 25,000円 (通常51,000円) | 【心臓エコー・尿検査を含むオールイン総合検診】 血液一般、腎臓、レントゲン、腹部エコー、心臓エコー、尿検査 |
追加オプション検査
より詳しく調べたい場合や、シニア期に入った子におすすめの追加オプションです。
- 甲状腺検査(8歳以上におすすめ):+5,000円(通常6,600円)
- 心臓検査(血液):+5,000円(通常6,000円)
知っておきたい注目の検査・画像診断の違い
SDMA検査(腎機能)
特に猫の飼い主様に知っていただきたい検査です。従来の腎臓の数値は、機能が「約75%低下」しないと異常として現れませんでしたが、SDMAは「約40%低下」の初期段階で検出が可能です。これによりかなり早く腎臓病を発見できるようになりました。
レントゲンと超音波の違い
レントゲンは骨の異常や肺・心臓の全体的な形を把握するのに優れ、超音波(エコー)検査は臓器の内部構造や心臓が動いている様子をリアルタイムで細かく観察できます。両方を組み合わせることで見落としを防げます。
予防接種・ペット保険の適用について
ワクチン接種などの「定期検診」は日常的な健康管理が目的ですが、「健康診断」は全身の隠れた病気探しが目的であり意味合いが異なります。
また、健康診断の費用自体は予防目的となるためペット保険の対象外(自己負担)が基本です。ただし、健診で異常が見つかり、精密検査や治療へと移行した場合は、その部分から保険適用となるケースがあります。
受診当日の準備と失敗しない事前ケア(絶食・採尿のコツ)
健康診断を正確に行うためには、ご自宅での準備も大切になります。
血液検査前の絶食ルール
当日の朝食は抜いてご来院ください
正確な検査結果を得るために、受診前の「8時間以上の絶食」をお願いしています。前日の夕食は普段通りで構いませんが、当日の朝は絶食です(お水は飲んで大丈夫です)。食後すぐは血液中の中性脂肪や血糖値が一時的に高く出てしまい、病気との区別がつきにくくなります。
※生後3ヶ月未満の幼齢期や、すでに重い病気を抱えている子の場合は絶食が危険なことがあります。事前に獣医師にご相談ください。
自宅での採尿・採便のコツ
採尿は、1日のうちで最も濃縮されている「朝一番の尿」が理想的です。量は5〜10cc(ペットボトルのキャップ1杯分程度)あれば十分です。
- 犬の場合:排尿のタイミングを見計らい、清潔な紙コップや使わなくなったおたまを差し込んでキャッチ。ペットシーツを裏返しにして溜まった尿をスポイトで吸うのも有効です。
- 猫の場合:システムトイレであれば、下のシートを外して直接トレイに尿を落とすか、トレイに清潔なラップを敷いておいて吸い取ります。
採った尿や便は密閉容器に入れ、乾燥しないように冷蔵保存し、24時間以内にお持ちください。自宅で採尿が難しい場合は、病院で安全に採尿する方法もありますので無理せずお伝えください。
「病院嫌い・ストレスが心配」な犬猫への工夫
「連れて行きたいけれど、うちの子は病院が大嫌いで…」とためらってしまうお気持ち、よく分かります。少しでも負担を減らすための工夫をご紹介します。
- キャリーの工夫:上部がパカッと開くタイプ(ハードキャリー)がおすすめです。普段から部屋に開けたまま置いておき、「安心できる場所」と認識させておきましょう。
- 移動時の工夫(猫):キャリーに入れる前に「洗濯ネット」にすっぽり入れるのが非常に有効です。さらにキャリーの上からバスタオルをかけて視界を遮ると、驚くほど落ち着いてくれます。
もし健康診断で異常が見つかったら?過度に恐れなくて大丈夫な理由
「検査をして悪い病気が見つかったらどうしよう…」と怖くなり、受診を先延ばしにしてしまう方もいらっしゃいます。
「異常=早期発見できた証拠」だから怖がらないで
獣医師としてお伝えしたいのは、健診で見つかる異常の多くは「症状が出る前のほんの小さなサイン」に過ぎないということです。異常が見つかったからといって、すぐに命に関わるわけではありません。
むしろ、「一番治療しやすく、体への負担が少ないタイミングで病気の芽を見つけることができた証拠」だと前向きに捉えてください。
正確な再検査・経過観察で最適な治療法を選べる
数値の異常が出た場合でも、すぐに強い薬を飲み始めるわけではありません。「今はまだお薬は必要ないから、食事管理で対応しましょう」「1ヶ月後にもう一度検査をして経過観察しましょう」といったように、軽度な段階であれば体に負担の少ない方法からスタートできます。
この記事のまとめ
- 犬や猫は病気を隠す習性があり、歳のとり方も人間の4倍早いため定期健診が不可欠
- 1〜6歳は年1回、7歳以上のシニア期は年2回の受診が推奨される
- 検査当日は8時間以上の絶食が必要(子犬・子猫は要相談)
- 病院嫌いな子は洗濯ネットやタオルを活用し、ストレスを減らす工夫を
- 異常の早期発見は、治療の選択肢を広げペットの体への負担を減らすことにつながる
言葉を話せず、痛みを隠してしまう愛犬・愛猫だからこそ、定期的な健康診断は私たち飼い主ができる「大切な愛情表現」です。少しでも受けてみようかなと思われた飼い主様は、ぜひお早めにご相談・ご予約をご検討ください。愛犬・愛猫との健やかで幸せな毎日が1日でも長く続くよう、私たち獣医師も全力でサポートいたします。